下町黙示録 第一節

ここはどこ?ここはどこ?私が眠っていたゆりかごはどこへ行ってしまったの?そんなことを言って、また日が落ちた。星の輝きは変わらずそこにあるというのに、だれも気がついてくれない。夜の幸福を好んだ。眠る場所は木の中に一つ。体温が布団になってくれる。布団にくるまってゆりかごで眠る。彼女の眠りが覚めなければいいのに、と、彼らは陽を浴びて言った。

歩いている。道の中の白いタイルに沿って木々の声に耳を傾けながら。それはどこかなつかしい気もしたが思い出すことはできない。白いタイル。大理石。木。どこにもいない……

階段。土。――……………


終わることのできない悲劇はいつか彼女を覆い尽くし真の終焉が訪れる。矛盾を事実に変えた。心を失ったxxxのように、目を奪われたxxxのように、声を消されたxxxのように。避けられない結末に、美しく気高く実らせることを信じて、少女は、少年は、心の臓を口にした。
やがて世界は終わる。その先は、この言葉は、必ず彼女のいる地に届くと、木の香りの中で首を切った。彼女は、彼女の声は、彼女の瞳は、やさしく、甘く、清らかに、すべてを包み、赦しを与えた。

第二節

作品ページに戻る


Copyright (c) 火炎轟雷雨 All Rights Reserved.